道尾秀介『向日葵の咲かない夏』感想/死んだ同級生が生まれ変わる話

★★★★☆

最近見聞きした多くの作品の中で1番歪だった。

もちろん構成は凄くしっかり練られていたし、いい感じに散りばめられた伏線も綺麗に回収された。

じゃあ何が歪かって、主人公も、世界観も、展開も、そのどれもが歪だった。
本作は狂気だとか異様だとか、そういう言葉がふさわしい。そんで、そういう作品は刺激的で面白い。

あらすじとしては、自殺した同級生があるモノに生まれ変わり、主人公に『自殺じゃない、僕は殺されたんだ』と告げる。

そこから推理していくって展開。以前から主人公の街では犬や猫の死体があって、その死体の足は逆の方向に折り曲げられてた。

主人公もその死体のひとつを目の当たりにして、その様を『出』の字を持ち出して形容しているんだけど、もうしばらくはそれにしか見えなくなってしまうと思う。

『ぷ』という文字を落ちているものを拾いあげようとしている人に見立ててる2chのスレかなんかを見た時も、しばらくの間、ぷがそうとしか見れなくなった。

『出』の字を見る度にこの作品を思い出してしまいそう。超自然的なようで超自然じゃないラストもすごく良かった。

あと解説ですごくいい文があったから引用。

「過去に読んだ筈の本の内容が思い出せない」というのは、多くの読書家の密かな悩みではないだろうか。(中略)だがそういう場合、自分の記憶力の悪さを嘆く必要はさほどない。考えてみれば、作家側にどんなに真摯に書きたいこと、表現したいことがあったとしても、それが読者側にとっても重要なことであるという確率は、恐らくかなり低い筈なのだから。作家が訴えるものと読者の求めるものとが須臾の重なりを示す時に生じる「感動」という名の心理的化学反応は、だからこそこよなく貴重なのだ。

最近、好きな作品を訊かれた時に『雪の断章』と躊躇なく答えた。だけど僕が思っていたのは『イノセント・デイズ』という作品だったらしく、肝心の『雪の断章』のページをめくってみたら全く、これっぽっちも思い出せなかった。Kindleのプログレスバー(進捗見れるヤツ)を信じると多分読了しているはずなんだけど、本当に、なにも内容が思い出せなくて自分でも引いた。ドン引きした。

こうやって見聞きしたものは記事にしておくことで一年後なり二年後なりに記事を読めば内容がすぐに思い出せるようになるか気になるところ。

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