岡嶋二人『99%の誘拐』感想/犯人が最初から判明している推理の話

★★★★★

推理小説というのは、大抵の場合、

  1. トリックのある事件が起こる
  2. 犯人が特定される
  3. トリックや動機が明かされる

というある種完成された雛形を辿る。

そして、その雛形の中で、トリックが秀逸であったり深く人情を描いたものが、良作と呼ばれるイメージ。

本書は違う。かなり序盤で犯人は明らかになっている。なんなら動機もほとんど明らかだ。

つまり、3→2→1という手順を踏むのだ。

※ 一応断っておくと、これはネタバレじゃない。これが仮にネタバレだとしても本書の面白みは別のところにあるため些末な問題でしかない。

では、この作品の面白さはどこにあるのか。上の雛形のような手順でなければ、推理小説としての面白みが何もないように思える。

この話が一風変わった構成であることは前述した。具体的にどう変わっているか。

まず、主人公はコンピュータや電子機器に関して深い造詣を持つ。

そして、あるプログラムを組み、かつ、自分のアリバイを完璧に確保し、誘拐事件の加害者でありながら被害者側として事件に関与していく。

いわば、この作品は主人公の組んだ完全犯罪のためのプログラムが正常に作動するかどうかを見守る作品なのだ。

斬新な計画、突飛なアイディア、警察を翻弄するプログラムは見ていて他では味わえないような爽快感とスピード感がある。

小説でありながらアクション映画のようにスリリングな作品。

読み終わってからタイトルにニヤリとしてしまうラストシーンもたまらなかった。

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