作ってます!

ハルノ晴『あなたがしてくれなくても』感想

★★★★☆

夫婦のレスの話。
3年ほど同棲していた頃のことを少し思い出したりもした。相手のことは好きで、大切に想っている。それでも、しようとは思えないという旦那の心情がすごくリアルかつ残酷に描かれている。と思えば女性の方の心情も繊細に描かれていて、作者の性別が少し気になったりもした。
中でも、レス状態であることを妻に執拗に責められて気が滅入ってる旦那の言い分として、目の前のアイスコーヒーを見ながら、

もう味も臭いも全部わかってる。それに加え、のども渇いてないのに飲めって言われてるみたいなんだよなぁ…

という表現は圧巻。ちなみにそのあとそれとは対称的な妻の表現も面白かった。
こういう心理描写や言い訳だけでなく、ストーリーそれ自体も面白い。大筋としては、レス状態の若い夫婦2組がダブル主人公とでも言ったかのような形。旦那とのレスに悩む主人公の女性と、彼女と同じ職場にいて同じく妻とのレスに悩む男性とがおそらくズブズブになっていく話。おそらく、というのは、この作品が未完結でまだ描かれていないから。
とはいえ、ストーリーも面白いのだけれど、なんと言ってもやはりこの作品における心理描写は癖になる。この記事を読むあなたの性別がどちらにせよ、似たような経験があるのならば、夫婦の言葉の応酬は自分の考えを言い当てられたかのような感覚になる。これがスリリングでたまらないはず。こちらの言い分は全て旦那/妻のどちらかが代弁してくれる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。